これがプレハブですか!? 曲線が美しい、増築可能な家「Villa One」
筆者は曲線が大好きだ。らせん階段、教会の天井、グランドピアノやバイオリン、そして女体。そして今回は壁面の木造の曲線の美しさに魅かれたので、このスモールハウスを取り上げたいと思う。
「Villa One」と名付けられたその家は、デンマークのコペンハーゲンを拠点に活躍するデベロッパーでもある建築スタジオEFFEKTが設計した。
初めて家を購入する、一人か二人の子供を持つ予定の若いカップルがこの家のターゲット。建築家は、まだ人生の船をこぎ出したばかりの、収入の少ない若いカップルでも入手しやすい、リーズナブルな価格帯のプレハブの家を設計した。
一番小さなものはカップルだけが住むように作られたシンプルな家。それから子供が増えるに従い、新たなキットを追加して部屋を増やしていく。家族が増えるに従い、家も一緒に成長していくフレキシブルな発想のスモールハウスだ。
136㎡のこの家は三つのウィングから成り立っている。各ウィングをつなぐ家の中央にはオープン式のキッチン、リビングやダイニングが配されている。二つのウィングにはそれぞれ寝室と浴室がある。そして三つ目のウィングは少し床が低くなったリビングになっており、ここは三つ目のベッドルームにすることも可能だ。
「図書室にしてもいいし、テレビルームにしてもいいんです。またはこの部分が不要であれば取り外したっていいんですよ。それから、ガレージの基礎を使って四つ目の部屋を作ることだって簡単にできます。」とは建築チームの一人ミケル・ブッシの言葉。
建築チームは部屋のスペースを最大限に有効に使うために、あえて廊下を作ることをしなかった。これは他のコペンハーゲンの低価格の住居の設計にも見られる手法だ。
この家は浴室や収納を、ベッドルームとリビングスペースの間に設けることによって、上手に共有エリアとプライベートエリアの棲み分けをしている。
この家を建てる際、注意したのが周囲にある秘密の庭や傾斜のある緑豊かな景観を生かしつつ、家族で過ごすスペースを最大限に堪能できるようにしたことだ。
通常は家の裏に広い庭があるのが好ましいのだが、この家の場合、家の裏の北側には、斜面のある庭の数メートル下には非常に交通量の多い高速道路があった。道路からは直接家が見えることはないのだが、それでも騒音がある。そのために高速道路に面した側は景色のみが楽しめるように防音ガラスが設けられた。このおかげでプライバシーは確保しながらも美しい庭を眺めることができ、なおかつ部屋を開放的な印象にしている。
こちらの庭には周りに木々を植えた。騒音もあるけど、広いので走り回ったり騒いだって大丈夫だ。
もう一つの秘密の庭である家の東側の壁面は庭の植物が壁を伝って育つように壁一面に紐が張られ、あと数年もしないうちにこちらの壁面は美しい緑色で覆われることだろう。ここで家庭菜園をしたり、椅子を置いて読書にふけるのも良いかもしれない。
家の反対側である南側は住宅街の通りに面しており、プライバシーに配慮する必要があった。そのために、強い日差しにも耐えうる耐熱処理のしてある木材が外壁に使われ、美しい曲線を描いている。窓が設けられたのは中央の共有スペース部分のみであとはガラス扉がそれぞれのプライベートルームへの明かり取りと同時に扉として使われている。
またこの南側はアウトドアスペースも楽しめるように舗装され、外でBBQや朝ごはんやランチができるようにテーブルも置かれている。第二のダイニングスペースや憩いの場として近所の人と交流もすることができるだろう。
さて、気になるこの家のお値段だが、デンマークの価格で1平方メートルあたり13,000クローネから購入が可能。日本円にすると、2015年8月末の為替で約237,000円。物価の高いデンマークだが、この価格でこんなに美しい家が建てられるなら、是非とも私も頼んでみたい!と思ったがあいにく土地がない。土地をすでにお持ちの方、ご興味があれば、こちらのサイトから問い合わせが可能だ。→ effekt.dk
Via:
dezeen.com
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